厨二コンによる随筆的ブログ

コンサル、思考力や生産性、厨二

コンサルへの転職と就活:戦略コンサル⇔経営・業務コンサル⇔ITコンサルの壁

戦略コンサル、経営・業務コンサル、ITコンサルへの転職やトランスファーにおいて、ぶつかり易い壁について取り纏めてみた。

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ITコンサルの壁

ITコンサルのメインは、SAPなどのパッケージシステム導入、デジタルという名のカスタム開発、システム開発におけるPMO等が主なプロジェクトである。

このようなプロジェクトをコンサルティングというかの議論はあるが、日本の就活・転職市場で一定の市民権を得ているのも事実である。

分かりやすい例としては、アクセンチュアがIR上でテクノロジーとセグメントとしているようなプロジェクトである。
アクセンチュアは、グローバルでは戦略・コンサルティング(コンサル事業)、テクノロジー(SI事業)、オペレーションズ(アウトソーシング事業)と3つの事業を分けている。

ITコンサルの壁は、世間一般的に言われるロジカルシンキングを使い、綺麗な絵を作成し、経営層に対してプレゼンをするというコンサル的な機会は限定される。スタッフレベルで転職した場合、求められるのシステム開発の方法論の知識や、各フェーズ(要件定義→設計→開発→テスト→導入・定着化)での具体的な経験である。

国内SIerとの違いは、「仕組み」化という考えで仕事を進める事が大きい。外資系総合ファームだと、海外のデリバリーセンターを活用するため、タスク、成果物などをグローバルで統一し、同じのプロトコルとする。また、トレーニングなどを通して、未経験者でも一定スキルを獲得させたり、評価制度で成果を上げた人に機会と対価を与えるというような仕組みは大きく違う。

事業会社から来たメンバは、プロジェクト単位でアサイン、リリースされるという働き方にも慣れる必要がある。常に、社内就活する働き方である。プロジェクトにアサインされないとアベイラブルになり、仕事がない状態となる。

コンサル的な考え方や綺麗な資料作成などは、近年、だいぶ変わったと思われる。10年前ぐらいは、システム導入系のプロジェクトでも、プロフェッショナリズムや資料へのこだわりも強かったが、良くも悪くも標準化されたように思われる。ただ、転職メンバからの話を聞くと、スピードはやはり国内SIerと比較すると違うらしい。

経営・業務コンサルの壁

新業務/制度導入によるコスト削減やグローバルシェアードセンター立上げなどの経営・業務系などが経営・業務コンサルのプロジェクトである。

経営・業務コンサルになると、ロジカルシンキングやアウトプットに徹底的にこだわるなどのプロフェッショナリズムが求めらる。但し、経営・業務コンサルもコンサルの産業化に伴い、本音と建前的な使い分けがされているようなに感じる。

産業化されたとは言え、アウトプットの品質と量を担保するために、投入工数をかける必要があり、事業会社よりは働く時間は長くなる。また、資料も事業会社とは明確に違うスピード、品質が求められる。

考えた方としては、論的思考能力、MECEやロジックツリーなど、物事を構造的(深さと広さ)に考える癖を身につけないと大変である。知識・経験も会社がどのようにまわっているかというバリューチェーンの仕組み(カネ、モノ、ヒトの流れ)をきちんと理解していないと話にならない。

ただ、経営・業務コンサルの世界はある程度方法も決まっているので、きちんとキャッチアップする努力をすれば、報われる世界である。

戦略コンサルの壁

戦略ファームも随分、産業化された印象を受けるが、やはり、「ザ・プロフェショナル」の世界である。投入工数で評価されるのではなく、あくまで「価値」で評価される世界。但し、スタッフの内は、投入工数で価値を稼ぐしかない傾向にあるが。。

案件自体も、明確な課題と答えがない世界。顧客も分からないから単価の高い戦略ファームに依頼する。そのためには、社会や事業(ビジネスモデル)の仕組みを理解した上で、論点・仮説思考を駆使して、紐解く必要がある。

もちろん、事業会社の方が頑張っても到達できないスピード感(10倍程度か)と細部まで拘ったアウトプットが求めらる。

私自身、経営・業務コンサルから戦略の壁にぶつかったが、論点・仮説思考を体得するという事とハードスキルとしての事業戦略を身につけるには苦労した。価値が出せると実感するまで3年ぐらいはかかった。