総合系コンサルファームからの転職や次のキャリアパスについて纏めてみました。
総合系コンサルは、旧も含む監査系を母体としたコンサルファーム/企業を対象としています。
具体的には、デロイト(DTC)、PwC、EY、KPMGの「ビッグ4のコンサルファーム」と「アクセンチュア(旧アーサーアンダーセン)」、「IBMのGBS(Global Bussiness Service)部門(旧PwCコンサルティング)」、「アビーム(旧デロイトトーマツコンサルティング)」を7つを対象しています。
アビームは外資系ではないですが、転職市場ではこの7つが総合ファームの括りだと思います。
コンサルファームへの転職
・総合系コンサルファーム間の転職が一番多い。こちらは転職エージェントと好物です。
・理由は様々。昇進できなかった、他ファームからのオファーが良かった、パートナー一族総移動、体調を崩し環境をリフレッシュしたかった等々。
・もはや、総合ファームが一つの人材プールみたいな感じなので、どのファームに属しているかより、どのプロジェクトでどのような経験を積んでいるかのがキャリアとしては重要。
・総合系コンサルファームから戦略系コンサルファームへの流れは10年前ぐらいはほとんどなかったが、近年は一定数存在。
・戦略系コンサルファームが、企業変革の実行支援やIT/デジタル領域の強化した事による影響。
・一番大きな流れは、総合系コンサルファームのマネジャー/シニアマネジャーからBCGのシニアコンサルタント(/マネジャー)クラスのキャリアパス。
・IBM/アクセンチュアのキャリアを積んで、IT/デジタル部門のパートナーになった人もちらほら。
・マーサーなどの人事系、ガートナー/SASなどのIT特化系など、ブティック系ファームに転職するパターンも存在。
・7~8年前に、ガートナーのコンサルティング部門の募集が多かった。
国内SIer系企業への転職
・国内SIer系企業がコンサル子会社を立ち上げると、総合系コンサルファームからの転職する方は多い。
・例えば、15年前ぐらいの日立コンサルティング、今は富士通のリッジラインズ(予想)。
・外資プレッシャーに疲れた、ワークライフバランスなどから、タイミングが合い転職した人が多い印象。
・総合系コンサルファームからNRIやNTTデータのコンサルティング部門に行く人はほとんど見かけない。
・もう一つの流れが、新興系ITコンサル企業への転職。
・この場合は、IPO前での一攫千金狙いや、役職が一つ上のポジションで提示されたり、インセンティブで年収が上がったりして、転職する方がいる。
・5~7年前ぐらいに、総合系コンサルファームでPMOなどのIT系よりのキャリアを積んだシニアコンサルタントやマネジャーがベイカレントに相当数流れた。年収も他総合コンサルファームより良いオファーを提示。
・現在もイグニッションポイントなど、数十名~200名規模の新興系コンサル企業がいくつか存在。総合系コンサルファームへの転職の受け皿となっている。
金融系(FASなど)への転職
・近年、監査系FAS(M&Aで財務DDとか主に担当する部隊)がPreM&A(Corporate Strategy)、PostM&AI(PMI)のチームを拡大中。総合系コンサルファームからそのチームへの転職。
・ただ、監査系コンサルファームにもM&A部隊でPreM&A(Corporate Strategy)、PostM&AI(PMI)チームが存在し、カニバリズムが起きているのでわ?との疑惑。
・数年前は、コンサルファームのM&Aチームの方が報酬が上だったので、ファイナンス領域を強化したいなどの意思がある人のみが転職する傾向だったが、近年はFAS部隊も報酬を上げてきた模様。
・投資銀行(IBD)、VC、PEなどは同じプロフェショナルで転職できると考えている方がいるかもしれないが、正直、総合系コンサルファームからの転職はほぼ不可能に近い。
・極まれに、有名大学のMBAを取得して、投資銀行に第2新卒扱いで転職する方や、人のつながりでVC、日系PEとかに転職する方もいるが、数名程度しかいないと思う。
・私自身、現在、投資銀行の方(FA)やVC、PEの方と、一緒に仕事する機会もあるが、総合系コンサルファームで獲得するスキルだけでは、即戦力にはならない。
事業会社への転職
・事業会社の経営企画/事業企画かIT/デジタル部門への転職。
・転職理由としては、ワークライフバランス・働き方などの加え、事業を実経験したいという場合が多い。
・ファーストリティリング、リクルート、楽天などは、総合コンサルファーム出身が多い。総合商社のデジタル部門等に転職する方は、ブランド、福利厚生・報酬から総合ファームの仲間から羨ましがられる。
・総合ファームのシニアスタッフからシニアマネジャークラスでの転職が多いが、年収がそこまで減らないとなると、企業も限定される。
・外資系企業への転職する方もいる。IT系のキャリアを積んできた方は、SAP、SFDC、AWS、MSなどのソフトウェア/SaaS系企業が多い。あとは、AWSでないアマゾン。GAFAでアマゾン以外はあまりいないと思う。
・外資系企業は営業などのインセンティブで報酬が跳ね上がるので、自分の実力次第では、コンサルよりも稼げる方もいる。
ベンチャーへの転職
・近年、デジタル系ベンチャーブームもあり、ベンチャー企業に飛び込み方も存在。
・ここ数年、ベンチャーが資金調達がし易かったこともあり、報酬もそこまで下がらない事が転職する人も増えた一つの要素。
・総合系コンサルのスキルが活かせるとなると、BtoB分野のデジタル(AI・IoT)系ベンチャーに行く方が多い。デジタルコンサル系領域はスキルも活かしやすい。
転職エージェントへの転職
・近年のコンサルバブルで一番、恩恵を受けた市場だと想定。
・基本、転職エージェントのフィーは年収の30%だが、コンサルファームの人の取り合いが発生し、50%や優秀な人材なら100%のフィーもあるという噂。
・総合コンサルファームでぐるぐる回る市場が存在するため、これは儲かると思います。
・人との付き合い等が得意で好きな方は、コンサルよりもコンサル領域を中心とした転職エージェントになるも一案。
フリーコンサル/起業
・フリーコンサル/起業する方も一定数います。自分で全ての責任を取り、働き方、稼ぎ方を自分でコントロールする世界です。
・スキルがないとフリーになっても仕事ないので、マネジャー以上になってからの人が多いと思います。
・最近は、フリーコンサルタントのマッチングサービスなども充実しているので、リスクも軽減されていると思います。
ご参考
・戦略、総合、IT系などの各ファームのサービスの違いは「コンサル一覧と実情:全コンサルティングファーム俯瞰図」を参照。
・コンサルに興味がある程度で、まだ業界研究や具体的な仕事を知らない方は「コンサルタントになる前に読んだ方が良い本」を参照。
・戦略系ファームの全体像については「コンサルへの転職と就活:戦略系コンサルファーム一覧と実情」、総合系ファームの全体像については「コンサルへの転職と就活:総合系コンサルファーム一覧と実情」を参照。