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各コンサルファームへの転職と就活:A.T.カーニー(Kearney)の特徴と年収

戦略コンサルティングファームのA.T.カーニー(Kearney)の紹介です。MBBの紹介もご参考に。

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ファームの特徴

・A. T. カーニー(A.T. Kearney)は、1926年に、米国シカゴで創立。
マッキンゼー・アンド・カンパニーのシカゴオフィスが分裂した戦略ファーム。
・設立者のマッキンゼーの死後、「マッキンゼー&カンパニー」と「カーニー&カンパニー」の2社に分裂。マッキンゼーはニューヨークとボストンに移転、カーニーはシカゴに残った。

・2020年、現在、世界40ヵ国の61拠点以上に事業所を展開。約3,500名のプロフェショナルを擁す。
・2020年1月より、グローバル・ブランド名をKEARNEYへと刷新。
・グローバル全体売上も$1.3billion(1,400億円)程度と推測。最大の戦略ファームであるマッキンゼー・アンド・カンパニーの1~2割程度の売上規模。

・営業・業務改革、サプライチェーン・コスト削減などのオペレーション戦略/業務改革のコンサルティングに定評。「エクセルでひたすらガリガリやっている」と言われる事も。

・米国サイトGlassdoorによると、2017年時点で米国で平均年収のランクは1位であった。

日本市場における特徴

 ・グローバルではMBBとA.Tカーニーは売上規模で大きな差があるがが、国内の知名度だMBBと大きな差はない
・日本法人会長の梅澤高明氏はメディアでの活動も多く、知名度向上にも貢献。

・経営戦略や新規事業立案の戦略立案系の単発案件だけでなく、クライアントに対してオペレーションを含めて長きに渡って業務改革コンサルティングを手がけるスタイルが多い。結果、戦略ファームの中では、常駐型が多い

・国内社員による企業評価の「OpenWork」でも、5点満点中4.53と、他コンサルティングファーム同様の高い評価。ファーム全体の雰囲気も良く、働きやすいとの事。
自ファームが好きな人も多いので、採用もこだわりが強いイメージ。コンサルファーム伝統の徒弟的な関係での育成スタイルを志向。

・国内のプロフェショナル数は100~150人ぐらいかと。
・特定のインダストリーとか、サービスに尖った人がいる。本当に大好きなんだなと。特にエネルギー業界は強いという印象。

・最近、同年代の30代が日本代表に。経営判断として素晴らしい。
38歳A.T.カーニー新代表「関灘茂」の圧倒的努力 | 企業経営・会計・制度 |

A.T.カーニーへの転職方法

・30歳以下で、スタッフの転職が主流。
・マネジャー以上はファーム内での昇進が主流。
・年収の問題もあり、MBBからの転職だと劣後してしまうため、少ない。
・オペレーションを追求する姿勢もあり、事業会社など他のフィールドからの転職者が比較的、多い傾向。
・他米系ファームと比べて、Up or Outの度合いは低く。
・採用は説明会受けないと面接できないなど、ブティックファームよりなので、「Why A.T.カーニー?」は意識した方が良い。

キャリアパス

ビジネスアナリスト
シニアビジネスアナリスト
アソシエト
マネジャー 
プリンシパル
パートナー

のキャリアパス。

ビジネスアナリスト

・新卒学生の方、実務経験が2年未満(第2新卒)の方がスタートするポジション。
・プロジェクトでは、与えられた領域の中で、アソシエイトの指導を受けながら、リサーチ、分析を対応。
・年収は600~800万円で程度。

シニアビジネスアナリスト

・30歳前後の中途入社の人や、新卒で入社の2~3年後の昇進。
・クライアントが抱える課題を設定し、仮説と検証を実施。また、そのためにクライアント社内やエキスパートインタビューも含めた情報収集・分析を実施。
・プロジェクトチーム及びクライアントメンバーにコミュニケートしていく必要
・年収は700~1,200万円程度。 

アソシエト

・シニアビジネスアナリスト後、もしくは、実務を通じて十分なビジネス経験を積んで入社した方は、アソシエイトとして参画。
・シニアコンサルタントのポジション。ネジャーまでにポジションを実質3段階的としている所は、マッキンゼーとBCGとの違い。ベインに近い考え方。
・与えられた課題の解決に受動的に取り組むのではなく、クライアント企業の抱える様々な経営課題を深く理解し、より高く全社的な視点から、経営課題の解決に取り組む。自らの担当領域を自己完結するのみならず、プロジェクト全体への貢献が必要。
・全社で共有するコンサルティング手法や事例などIntellectualCapital(知的資産)の創造、プロジェクトの質の向上、リクルーティング活動等を通して、ファームの発展に貢献することも期待される。
・年収は1,200~ 1,800万円程度。

マネジャー

・管理職で部下を持つ立場で、スタッフの評価も実施。ケースチームとクライアントの双方にとって、リーダーとしての役割を果たす。
・ファーム内での昇進を経て、マネージャーに就任するケースがほとんど。
・クライアント企業のみならず、クライアント企業の属するインダストリーの深い理解に基づき、経営課題の解決に取り組みが期待。
・スタッフの指導育成等、シニアなコンサルタントとして、ファーム全体の発展のために多くのことを期待。
・年収は2,000~3,000万円程度。ベースが1,700~2,000万円+インセンティブ

プリンシパル

・プリンシパルはグローバルな選考委員会により選出。
・マネージャーとパートナーの中間に位置するポジション。上級マネージャーというよりは、パートナーの見習いという立ち位置。
・プロジェクトの範囲を超えたクライアントの経営課題を認識し、クライアント主要メンバーへのカウンセリング、更なる変革と価値向上に向けた提案をしていくことも求められる。
・オフィス内においては、各プラクティスのコアメンバーとして専門分野における知見と洞察力を高め、IntellectualCapital(知的資産)の開発及び新規ビジネスの開拓を実施。
・メンターとして若手コンサルタントの指導育成やキャリア・ディベロップメントの支援、PR、リクルーティング等のファームの発展に貢献。
・自分の名前でクライアントと関係を構築して、仕事を取ってくる階層。
・年収は3,000~5,000万円程度。

パートナー

・所謂、パートナー。ファームのパートナー(共同責任者)として、クライアントとの関係構築、プラクティス開発、人材育成などの責任を持つ。
・クライアントとの長期的な関係を構築し、ビジネスを成功に導き、サクセスストーリーを描き、ファームおよびクライアント、両社の企業の成長に対し、大きく貢献する ことが求めらる。
・産業の構造転換、業界の変革に向けた提言を、オピニオンリーダーとして広く産業界全体に働きかけていく事が期待される。
・年収はファームにおける責任と売上次第。パートナーの年収の考え方はどのファームも同じ。基本給が3,000~10,000万円でボーナス含め、5,000万円エントリー。業績と自分の成績次第。

ご参考

・戦略、総合、IT系などの各ファームのサービスの違いは「コンサル一覧と実情:全コンサルティングファーム俯瞰図」を参照。
・戦略ファームの全体像については、「コンサル一覧と実情:戦略ファーム編」を参照。
・評価に関するランキングについては、「コンサルティングファームのランキング:評価編」を参照。
・コンサルに興味がある程度で、まだ業界研究や具体的な仕事を知らない方は「コンサルタントになる前に読んだ方が良い本」を参照。