コンサルティングファームの組織・文化を理解するための着眼点を整理しました。
外資か内資か?
・外資か内資かは組織・文化を理解する上で重要な着眼点です。
・外資は、実力主義、年収が高いなどのイメージがありますが、それは雇用を保証しないというリスクとのトレードオフ関係です。
・外資にとっては日本は一市場に過ぎないです。生殺与奪の権利はグロバールトップに握られています。グローバルが雇用10%削減と判断すれば、従うだけです。
・日本市場で独立権がどこまで獲得できているかは、その企業全体に対して日本市場の売上・利益割合は一つの指標になります。また、日本市場の経営陣(パートナー)の外人比率も参考になります。
米国系か欧州系か?
・同じ外資でも、米国系と欧州系では意外と組織・文化の考え方は違います。
・米国系は資本主義至上で、雇用の考え方もより短期的な傾向です。
・欧州系は多くの国・文化から成り立つ事を前提としています。結果、よりダイバシティ―的な考えが強いです。
上場か非上場(パートナーシップ制)か?
・上場企業か非上場(パートナーシップ制)は偉くなればなる程、大きな違いがあります。
・上場企業のパートナーは役職の肩書です。株式企業で上場している企業は、株主の者という考えが米国的資本主義の考え方です。パートナーは自社の企業価値を向上させる事がミッションです。
・一方、非上場で従来通りパートナーシップ制を取っている組織(ファーム)は、基本的にその組織はパートナーのモノであるという考えです。(エクイティ)パートナーになった時にファームに出資し、毎年の利益をパートナーで按分するというのが基本的な考えです。弁護士事務所が同じ考え方です。
・ゴールドマンサックスなどの投資銀行とアクセンチュアは、元々パートナーシップ制でしたが、2000年前後の上場ブームで上場したので、パートナーシップ制も踏襲した文化になっています。
・国内上場企業の子会社という構造であるSIer系のコンサル系子会社は、報酬などの人事制度で親会社と逸脱できない事情があります。
祖業は何か?
・祖業が何かも文化・制度の形成する上で重要です。戦略ファームは祖業も戦略コンサルティングです。故に、戦略コンサルタントとしてのプロフェショナルマインドは強いです。
・総合ファームは会計監査グループが祖業です。コンサルティングは会計監査からの派生サービスです。アクセンチュアだけはアーサーアンダーセンからコンサルティング部門として独立し、唯一、単独で生き残りました。
・アーサーアンダーセンは会計監査の旧ビック5の中でも大規模なM&Aを実施せず、米国中心に巨大化した事もあり、現在のビック4と比較しても、ブランド志向が強く、競争意識が強く、アグレッシブでした。アクセンチュアの文化にも、その傾向が引き継がれています。
・SIer系は、ITサービス系のテクノロジー企業が祖業であり、母体です。その母体企業を強化する上でのコンサルティング部隊という考え方です。故に、純粋なコンサルティング文化に染まる事は困難です。
・シンクタンクは金融機関の調査・分析機能からの発展したサービスです。コンサルティングのアプローチも調査・分析という思考があります。
ご参考
・戦略、総合、IT系などの各ファームのサービスの違いは「コンサル一覧と実情:全コンサルティングファーム俯瞰図」を参照。
・コンサルに興味がある程度で、まだ業界研究や具体的な仕事を知らない方は「コンサルタントになる前に読んだ方が良い本」を参照。