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生産性が高い会議のコツ:事前準備編

「発言しない奴は会議に出るな」などコンサルタントなら、新入社員の時から会議/ミーティングでの生産性を求められます。

15年間のコンサルタント経験を踏まえ、「生産性の高い会議を実現するためのコツ」を、事前準備編、本番編、事後対応編の3編シリーズでお伝えしたいと思います。

実りのある会議にするためには、一般的に事前準備と事後対応に十分時間を使うことが望ましいです。特に、事前準備はその会議が意味のあるものなのかを決定付けるものです。

会議を開始するには次のようなステップで準備を行なう必要があります。

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目的の整理

そもそも何のために会議を実施しようと思ったのかを整理する必要があります。目的によっては他の手段を利用した方が容易だったり、効率的だったりする場合もあります。

会議の目的は、大きくは、

A.権限保有者の承認: 意思決定者がGo/No-Goを判断する
B.両者間での交渉・合意: 利害関係がある両者間で交渉し、両者の落し所を合意する
C.有識者による議論: 議論する事で検討内容を昇華させる
D.次アクションの明確化: 誰が何を、いつまでにするかを明確にする
E.関係者への説明/情報共有: 関係者間の情報格差を埋める
F.一体感の醸成: 同じ環境・時間で議論を交わす事での一体感を醸成する

に集約できます。目的が複数になる場合もあると思います。例えば提案であるならば、顧客への説明(E)を踏まえ、顧客との交渉・合意(B)が目的になります。

会議はまず、目的を明確にして、手段が「会議」でなければならない事を確認します。電話・メール、チャット、イベントなどの他コミュニケーション手段の方が良い場合もあります。

また、会議を開くことによる害も考慮する必要があります。

会議は大きな工数(=参加人数×(開催時間+移動時間))が発生します。
また、参加者が価値の低い会議だと感じた場合、自分が開催する次回以降の、より重要かもしれない、会議に参加してくれなくなるリスクが発生します。忙しく重要な人に「次回も参加したい」と感じてもらわないと生産性の高い会議は実現しません。

材料の手配

次に会議で話すべき議題を洗い出し、優先順位をつけましょう。その順位を元に⑤シナリオの最終化で実施します。

会議での議論を洗い出す上で、下記のような論点で自問自答すると良いと思います。

・この会議では何が出来ればいいか?会議が終わった後、どのような状態だった良いのか?
・この話をする前提にはどんなものがあるか?制約条件はあるのか?
・この会議の次ステップには何をするのか?誰がどのようなアクションを据え付けるのか?
・今回の目的を強化するために他に出来ることがあるか?
・同じようなメンバが集まる必要のある議題はないか?

議題の洗い出しと優先順位が決まったら、資料の準備です。
資料の準備は、ストーリーライン、参加者分析、使用方法の3点を意識して、準備しましょう。

ストーリーラインでは、「メッセージは何か?」、「どのように進めれば議論/合意しやすいのか?」を考えます。

参加者分析では「資料中で使っている用語は参加者が理解できるか、逆に説明がくどくないか?」、「資料の粒度は参加者(目的)と合っているか?」、「どのように説明すれば理解しやすいか」などが論点になります。

最後に、使用方法として、「プロジェクターを用いるなら字は大きく」、「細かい数字・文字を使うなら配布資料で」などの参加者の立場になったきめ細やかな心遣いの差が会議の成功を左右します。


資料準備には工数がかかります。「会議の目的」と「資料を揃える工数」でGAPがある場合は、「目的を変える(目標を下げる)」か「工数を手配する」のどちらかでGAPを埋めましょう。

前者は、「議題を減らす(論点を絞る)」、「前提の説明をやめる」、「議論をせず、説明だけする」などです。後者は、「手伝ってくれる人を探す」、「過去資料を利用する」「他の会議参加者に任せる」、「会議開催を遅らせる」などです。

人の手配

資料準備と並行して、その会議には誰が参加しなければならないかを検討しましょう。その際に、会議に必要な役割を洗い出して、適切な人物を割り当てることで案を作成しましょう。逆に、それぞれの出席者の役割を明確にすることにより、無駄な出席者がいないかどうかを確認することもできます。

出席者の役割には、「意思決定」、「司会・進行」、「資料説明者」、「議論を深めるための有識者」などです。

議論を深めるという役割の人が多すぎると各自の責任が薄くなりがちである上、不必要な議論が長引き、結論が出づらくなります。議論を深める役割を持つ人が多すぎないか、かつ出席者の主張が偏ったものにならないかを再度確認しましょう。

環境の手配

その会議はどこでやるのかも重要です。広さ、アクセス、設備の3つの観点で考え、手配すると良いでしょう。

A.広さ:「参加を予定している人が全員来ても十分な広さか」、「人が座る以外に必要なスペースはないのか」など
B.アクセス:「電車や車で来る人は誰なのか」、「最も参加して欲しい人はどこだと都合がいいのか」などの
C.設備:「プロジェクターやホワイトボード、無線LANは手配できるか」、「無線LANのアクセスが必要か」など

シナリオの最終化

②~④の作業まで終わったら、会議のシナリオを最終化しましょう。必要に応じて、再度②~④に戻って検討を行いましょう。
「A.どのような順番で進めるか」、「B.どのくらいの時間がかかるか」、「C.どうやって目的を果たすのか」が主要なチェック項目になります。

A.どのような順番で進めるか
議題毎の依存関係は?、どう進めば参加者は頭を切り替え易いか?、関連の強い議題はなるべく近づける、重要な議題は最初の方に入れる、など

B.どのくらいの時間がかかるか
確認するのか、議論するのか?、議題の広がりは?、どのくらい深く議論する必要があるか?、誰が担当するのか?  など

C.どうやって目的を果たすのか
資料作成、発表。議論への参加、意思決定などの最終確認

実施準備

会議が始まるまでに部屋の準備を終わらせておくことにより、自分のペースで会議を推進できます。重要な会議であれば、部屋の準備までやりましょう。

A.部屋のレイアウト
椅子、机の並べ方や椅子・机の数(机を挟んで向かい合うと対立しているイメージなる、学校の教室風にすると議論がしづらいなど)、発言者が見えづらい席や聞こえづらい席はどこか、フォーマルな会議ならば席順を決めておく、自分はなるべくホワイトボード側に座る など

B.ツールの準備
準備しようと思っていたものはすべて揃っているか、特に、資料は念入りにする など 

C.発言者の服装
淡々と進めたい時には地味な服、強く印象付けたい時には特徴あるネクタイ、フランクな議論がしたい時にはカジュアル など

D.部屋の温度
室温が高いと集中力が下がる(寝る人が増える)、人が増えると室温が上がることを見込んでおく など

ここでやる必要があるのかと思う方もいると思いますが、“神は細部に宿る”です。

 

オンライン会議については、前回ブログに記載しているので、参考にしてください。
テレワークで生産性を上げるポイント