コンサルタント歴15年以上の私が、就職活動をしている方に向けて、自分の人生で最適な就職先を見つけるために、5つのステップと23の論点を整理してみました。
この論点全てに自分の考えを纏める事ができたら、エントリーシートや面接で困る事は少ないと思います。
仕事は、今後、最低でも人生の活動時間の約45%*の時間を費やす事になります。人生のそれだけの時間を費やすのに、就活中、”なんとなく考える”のは勿体ない思います。折角なので、じっくりと考える事をお薦めします。
*簡易算出ロジック:
1週間:24H×7日=168H
活動時間:168H-(9H(睡眠/食事など)×7日)=112H
仕事消費割合:10H(1日の仕事関係(移動など含む)×5日÷112H=44.6%
- ステップ① なりたい自分を想像してみる
- ステップ② 自分自身を見つめ直す
- 7. 自分の特徴は何か?なぜ自分自身でそう思うのか?
- 8. 自分の特徴は、どのようなエピソードで証明できるのか?
- 9. 人生で挑戦した事で、1番、達成が困難だった事は?
- 10. その困難をどのようにして、成し遂げる事ができたのか?
- 11. 自分の性格で改善しなければいけないと思っていることは?
- 12. 改善点をどのように改善していくつもりなのか?
- ステップ③ 世の中の業界と会社を知る
- 13. 世の中には、どのような業界や会社があるのかを理解しているか?
- 14. 自分の成し遂げたい事は、どこの業界やどの会社なら実現できそうか?
- 15. どの業界と会社に興味を持ったのか?それはなぜ興味を持ったのか?
- 16. 興味が沸いた業界は成長するのか?市場構造は?課題は何か?
- 17. 興味が沸いた会社は業界の勝ち組か?成長できるのか?
- ステップ④ 志望する業界と会社を明確にする
- ステップ⑤ 自分の気持ちを最終確認する
ステップ① なりたい自分を想像してみる
1. どんな事をしている時にやりがいを感じるのか?
今までの人生を振り返って、やりがいを感じた事は何でしょうか?
まずは、より具体的に列挙してみましょう。部活、サークル、アルバイト、趣味なんでも良いです。
次に、”なぜ”やりがいを感じたのかを少し考えみましょう。
一人だけの力だけでなく、チームで一丸になって、一つの目標に向かって、何かを成し遂げたからや、自分1人で黙々とやり、計画的に実行てきたからなどです。
無理をして、華やかである必要でないです。きちんと自分自身に偽りなく、向き合う事が大切です。
例えば、プラモデル作りなどでも、緻密な作業で没頭できて、自分のオリジナリティを出して、作品に仕上げる事ができる能力は素晴らしいです。プログラマーなどの職種は一人で没頭できる人のが向いています。
2. 仕事を通して、何を成し遂げたいか?
人によって、人生における”仕事”の目的は違うと思います。「家族を養うためのお金を稼ぐための手段」、「仕事を通して、自己実現を果たしたい」など、人の立場によって、異なります。
学生の内は、仕事の目的を定義するのは難しいと思います。一方、お金稼ぐためにだけに働くというのも、人生が勿体ないと思います。
仕事を通して、どのような自己実現を果たしたいかとい観点で考えてみてください。世の中に自分が主導した商品を出したいとか、ざっくりしたものでも良いと思います。
3. 30歳の時、どのような自分になりたいのか?
次に、30歳になった時という時間軸考えてみましょう。30歳だと、仕事のやり方も覚え、結婚など人生のステージも変わっていると思います。その人生のステージを意識しながら、仕事で、自分がどのような状態になっていたいかを考えみてください。より具体的な状態を定義する方が良いでしょう。
どんな立場になっていたいのか?、社会に対してどのようなインパクトを残したいか?、30歳の時の自分の強み/弱みは?年収は?など
30歳の時にどんな職務経歴書になりたいを考えると、よりイメージが膨らむと思います。職務経歴書は馴染みがないと思いますので、近くに憧れの先輩や尊敬できる社会人がいましたら、職務経歴書見せてくださいとお願いするのも一案です。
学生だと、2、3年年上の先輩も憧れがあると思いますが、ロールモデル(お手本となるような人物)として5~10年ぐらいの社会人経験者が良いと思います。
4. 30歳の自分になるために、3年でどのような自分に達する必要があるのか?
30歳の自分の状態を膨らます事ができたら、それを実現するために、今から3年後に目指すべき状態を考えてみましょう。3年という時間軸なので、より具体的に、実現できるかを見据えた自分を考える事ができると思います。
5. 3年後の自分になるため、3年でやらなければいけない事は何か?
3年後の自分の状態を膨らます事ができたら、少しワクワク感がでてきたと思います
ここで”ワクワク”を感じなかったら、折角の人生、勿体ないです。もう一度、30歳、3年後、どんな自分になりたいかを再考する事をお薦めします。ワクワク感があるなら、やりたい事(want to)が列挙できると思います。
やりたい事が列挙できたら、やりたい事と自分が今できる(can)事で、スキル的に足りない部分でのギャップがあると思います。
3年後がよりチャレンジであればある程、そのGAPは大きいと思います。
例えば、海外で働く事を目指しているのであれば、英語の基礎スキルに加え、ビジネス基本や異文化コミュニケーションなどのスキルや経験を獲得するなど、やらなければいけない事(must)が洗い出してみましょう。
6. やらなければいけない事で、会社員でしかできない事は何か?
やらなければいけない事(must)が列挙できたら、個人で対応できる事と個人では対応できない事/非効率になる事を識別してみましょう。
例えば、英語力を向上させる事は個人でも十分でもできます。
しかし、ビジネス局面での英語コミュニケーションや、商品・サービスをどのように価値を知らしめて(マーケティング)、価値に対価を払ってもらう(セールス)などのビジネスそのものは個人では経験する事は難しいかと思います。
ステップ② 自分自身を見つめ直す
7. 自分の特徴は何か?なぜ自分自身でそう思うのか?
次のステップで、自分の特徴はきちんと精査する必要があります。
まずは、「自分の特徴」と「その特徴/性格がどれぐらい」なのかを列挙しましょう。可能な限り、列挙する事をお薦めします。「一番にならないと納得できないぐらい負けず嫌い」、「筋トレを10年間毎日続けているぐらい継続力がある」など、できるだけ多く、列挙してみてください。10個とか数を決めるのも良いと思います。
列挙した事は、いくつかのグループに整理できるかと思います。「負けず嫌い」、「継続力」、「好奇心旺盛」など、です。
できる事を3個のテーマに集約してみてください。2個だと少ないです。4個以上だと多いです。そして、列挙した特徴と集約したテーマを紐付けてみましょう。
8. 自分の特徴は、どのようなエピソードで証明できるのか?
自分の特徴を集約する事ができたら、その特徴を具体的なエピソードで証明する必要があります。「列挙した特徴と集約したテーマの紐付け」を深堀する。この深堀をきちんとできるかどうかで、就職活動の合格を左右すると言っても過言ではないと思います。
エピソードで自分の特徴を証明する必要があります。バリデーション(妥当性の証明)というものです。〇〇年間、〇〇人、〇〇案件など定量的にエピソードを表現した方がよいとより効果的でしょう。
エピソードは、ファクト(結果)と、それをどうやって達成する事ができたかのHow(要因)をきちんと分けて、整理してみましょう。
どのような課題やトラブルが存在して、それをどうやって克服したかのエピソードがあると、ストーリー化され、より面接官に刺さると思います。
9. 人生で挑戦した事で、1番、達成が困難だった事は?
次に、人生で挑戦した事で、1番、達成が困難だった事を考えてみましょう。この「挑戦で困難だった事」と「自分の特徴のエピソード」は紐づいた方が良いです。
もし、人生で一番困難だった挑戦した事と自分の特徴が紐づいてなかったら、自分の特徴を考え直してみましょう。人生で一番困難だった事は自分の性格≒特徴に強く影響を与えていると思います。
10. その困難をどのようにして、成し遂げる事ができたのか?
人生で一番困難だった事を特定できたら、どうやって成し遂げたかを具体的に振り返ってみましょう。
もし、成し遂げる事ができなかった困難であったならば、どのような挑戦をして、なぜ成し遂げる事ができなかったかを振り返ってみましょう。
人は困難に挑戦するから、成長する事ができます。
11. 自分の性格で改善しなければいけないと思っていることは?
自分の性格に向き合いたくない部分にもきちんと向き合いましょう。若い時はこの自分の嫌な部分と向き合いたくないものです。その気持ち、分かります。
自分自身のダメ部分を向き合い、それを改善点と捉え、改善活動をしていく事で、人は成長もでき、変わる事もできます。
20代であれば、人は変わる事ができます。30歳を過ぎると変わる事がとても難しくなります。変わるためには、まずは、可視化する事が重要です。
12. 改善点をどのように改善していくつもりなのか?
自分の改善点が可視化できたなら、それを具体的にどのように改善していくつもりかも考えみてください。具体的なアクションを起こさない限り、人は変われないです。
具体的な改善方法をアクションに落とし込み、行動をする事であなたは、より魅力的な人になることができるでしょう。
ステップ③ 世の中の業界と会社を知る
13. 世の中には、どのような業界や会社があるのかを理解しているか?
次のステップで、世の中にどのような業界や会社があるかを勉強しましょう。
日経新聞を読んでみるのも良いと思います。大学2、3年生の皆さんは今から日経新聞を読み始める事で、1、2年後にはより企業を正しく判断することができる能力が身につくと思います。
もう一歩踏み込んで、今後の社会、企業を理解するためには、3つの本をお薦めします。
様々な業界の全体像を掴むためには、業界地図がお薦めです。学生の皆さんが知らない素晴らしい会社は日本にはいっぱいあります。
例えば、工場の生産工程を自動化システム(ファクトリーオートメーション)の「ファナック」やアップルへ電子部品を供給している「村田製作所」などは学生の知名度は低いですが、日本を代表する素晴らしい企業です。
14. 自分の成し遂げたい事は、どこの業界やどの会社なら実現できそうか?
「ステップ① なりたい自分を想像してみる」、「ステップ② 自分自身を見つめ直す」での考えを振り返りながら、どの業界やどの会社なら、自分の成し遂げたい事を実現できるか考えてみましょう。
15. どの業界と会社に興味を持ったのか?それはなぜ興味を持ったのか?
ここまでの論点に対してきちんと考える事ができた皆様でしたら、どこかの業界や会社に興味を持つでしょう。
興味を持った業界や会社について、初期的に、なぜ興味を持ったかをきちんと書き出してみましょう。ここでは、志望動機という建付けで書き出すというよりは、業界/会社で興味を持った理由を素直に書き出すのが良いでしょう。
16. 興味が沸いた業界は成長するのか?市場構造は?課題は何か?
興味が沸いた業界が決まったら、まずは、その業界が今後も成長するかを調査した方が良いです。その業界自体が今後、成長が望めないのであれば、厳しい戦いに挑む覚悟はしてください。
今は便利な世の中です。「〇〇市場 成長」、「◎◎市場 予測」などググれば、数秒で分かると思います。
その商品・サービスが大好きで、その商品・サービスに携わる仕事ができただけで、人生が幸せになるという価値観でないなら、業界から調査・分析する事をお薦めします。
相対的に、成長している業界に優秀な人材は集まります。誰と働くかという観点でも、成長している業界を選択した方が良い刺激を受け、人生が豊かになると思います。
狙う業界の市場構造や課題も握した方が良いです。このあたりをきちんと理解した上で面接に挑んだ方が合格率も上がると思います。志望してきた業界や会社の事をきちんと調査・分析してくれている人たちの方が好感を持ちます。
業界の市場構造などは〇〇業界本などで分かりやすく纏まっています。現役のコンサルタントも知見がない業界はこのような本を初日に読みます。是非、皆さんにも読む事をお薦めします。
自分で調べた知識を踏まえ、気になる事は面接の時に質問した方が良いと思います。知ったかぶりの質問ではなく、純粋に気になる事を聞けば良いです。
面接官が質問にきちんと答えられるか、どうかも、その会社を選ぶ基準になると思います。
17. 興味が沸いた会社は業界の勝ち組か?成長できるのか?
興味が沸いた業界が決まったら、興味が沸いた会社の事もきちんと調査・分析した方が良いでしょう。ネットにある偏差値ランキングや雑誌が纏めている就活人気ランキングなどの情報に惑わされないください。
例えば、現在、コンサルティング業界は就活人気ランキングに上位に出ています。しかし、シニア・ミドルのコンサルタントの間では、「東大生の就活人気ランキングで上位になったら、今がピークで、凋落産業だね」と言います。
現に、コンサルティング業界では、情報処理力は高いが、安定志向の学生が多くなった事に強い危機感を持っています。
興味を持った企業は自分自身の足で調べましょう。
自分の働く会社を他人の意見で決める事は極めて危険です。自分で各社のホームページで決算や中期経営計画などの資料も確認しましょう。業界と同様、会社の売上や利益が過去5~10年間で成長している企業をお薦めします。
ステップ④ 志望する業界と会社を明確にする
18. 自分の目標や振り返りを踏まえ、なぜ、その業界を志望するのか?
ここからは本格的に志望動機に落とし込む作業になります。志望動機を書く上で、2つの考え方を意識することが良いと思います。
一つは、「なぜこの業界、なぜこの会社」という順番で考える事です。
もう一つは、「内部設計と外部設計」を分けて作業する事です。内部設計は自分の考えを論理的に整理整頓して、自分の考えや伝えたい事を練る作業です。外部設計は他人に伝わるために、わかり易く表現する作業です。
まずは、自分の目標や振り返りを踏まえ、内部設計として「なぜ、その業界を志望するのか?」を書き出して整理して見ましょう。
19. 自分の目標や振り返りを踏まえ、なぜ、その会社を志望するのか?
次に、内部設計として「なぜ、その会社を志望するのか?」を書き出して、整理してみましょう。
ここまでは、エントリーシートにある志望動機欄を意識する必要はないです。文字数などは気にせずに、なぜ?その会社を志望するかを「構造化/階層化」を意識して、整理整頓をしてみましょう。
ここまでできたら、初めて、エントリーシートにある志望動機欄を意識してみましょう。ここからは「外部設計」作業です。ここまで論点が整理できた方なら伝えたい事がいっぱいあるでしょう。しかし、伝えたい事は相手に伝わらないと意味がありません。「外部設計」作業は伝わるために分かり易く、シンプルに書く事がポイントになります。詳しい事は面接で伝えれば良いです。面接に質問され易いようにエントリーシートでフックをかけるイメージです。
20. 志望する会社のミッション、ビジョン、バリューに共感できるか?
企業分析は数字も重要ですが、働くという意味ではその会社に共感できるかがより重要になります。
どこを見れば良いかというと、企業HP(ホームページ)の、ミッション/ビジョン/バリューや企業理念、行動指針、社長からのメッセージなどをじっくり読んでみると良いでしょう。
このミッション/ビジョン/バリューは、企業の存在意義や使命を言語化したものになります。この部分に共感できるかどうかは、その会社で働くという事で重要になります。
21. 志望する会社の人達の話を聞いて、なぜ、その会社を志望したいか?
会社の事について、ネット情報だけでなく、可能な限り、自分の足で志望している会社に勤めている人達から会社の事をヒアリングした方がミスマッチを起こすリスクは低くなります。
会社の事を好きな従業員が多い会社は、大概、良い会社が多いです。
生の声を直接ヒアリングする事が困難な場合は、Open Work等の転職サイトで情報取集するのも一案です。就活サイトより転職サイトの方がより正確な情報が多いと思います。入社2~3年目は会社の事を十分に理解していない事が多いです。
https://www.vorkers.com/
但し、気をつけなけばいけない事は、このような情報は自分の知らない人が責任がない状態で発言している情報です。その情報をどのように判断するかは、あくまで、個人の責任です。
比較的、会社で評価されていた人はポジティブ意見が多く、改善点なども建設的だと思います。逆に評価されていない人はネガティブ意見が多いです。
どのような人が評価されるかを判断する一つの情報として参考にはなると思います。
ステップ⑤ 自分の気持ちを最終確認する
22. 会った人達や面接した人達と一緒に働きたいと思ったか?
一緒に働きたい人かどうかは、自分の感性に従って良いと思います。ここまでの論点が明確になっていたら、後は、感性でのマッチングです。
服装や雰囲気、しゃべり方なども含め、一緒に働く可能性がある人達が自分に合っているかです。
仕事の満足度は、「何をするか(What)」と「誰と働くか(with Who)」の2点に影響する所が大きいと思います。前者は論理的アプローチでミスマッチを最小化する事ができますが、後者は感性的な要素が大きいです。
23. 内定をもらった会社で1番”ワクワク”を感じている所はどこか?
最後は気持ちです。ここまで論点を明確にして、就職活動を実施できた人はどこでも評価され、優秀な方だと思います。どの内定が良いのか悩む事があると思います。
最後は、自分の気持ち(ゴースト)に従ってください。
一番、”ワクワク”する企業を選ぶべきです。飛び込まない後悔より飛び込んだ後悔のが人生振り返った時に後悔しません。